日々、雲のように流れて行く事象。世界中はエアに包まれている


by tenkuunomachi
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

天空の街

7
 この頃見る夢は前みたいに寂しくなるような夢ではなくなっていた。
今日もまた夢を見た。
 僕は大学の構内を一人うろついていた。
今日は日曜日なのだろうか?構内には誰もいないようだった。
とりあえず、学生食堂の方にも行ってみた。
すると、そこには由美がいた。
僕はおもわず遠くの方から声をかけてみた。
「由美さ〜ん」
すると、カチューシャをつけた女性がこっちの方を振り向いた。
やっぱり、由美だ。間違いない。
彼女はテーブルの上に本を広げ、読書をしていた。
「なにを読んでいるのですか?由美さん」
すると彼女は本をいったん閉じてから、表紙を僕に見せてくれた。
「天空の街?」
僕が聞いたこともない題名であった。
由美はにっこりと微笑むと僕の瞳の中を覗きこんできた。
「あ、あのう、あの、由美さん。あの時はお世話になりました。す、すみません」
僕は彼女とのプレイで勝手に自分の中で由美になりきってしまったことを詫びた。
由美は僕の目を見つめたまま話し出した。
「私自身があなたの中での理想の女性なのかどうなのかは分からない。でもあなた、彼女と出会ってからかなり明るくなったわ。オープンになった。とてもいいことよ。なにが大事なのか。大切なものはなにか。そんなことはいつだって不透明で見えないものなのよ。あなたの気にしている慣習や道徳。あなたの中で起こる破壊衝動。あなたはきっとタブーラ、ラサ(白紙還元)を望んでいるの。だから、きっと自分がなにか大きなミスや、事故を起こすと考えてしまって、きっと自分は気が狂ってしまい、なにか危ないことを起こすのではないかと怯えるあまり、その前に自分を消してしまいたいと思うのよ。あなたは...」

そこまで由美が言いかけた時、その先を僕自身の言葉によって続ける。
「その結果、自分の考え方、この破壊能力を秘めた筋肉、およそ考えられる限りの僕の全てを根こそぎ改造してしまいたかった。僕自身が求めていたのは常に安定と調和であり、それこそが最高であった。それを維持するためには自分の考え方や行動様式を強引にでも律していかなくてはならなかったんだ。でも今、彼女のお陰でその呪縛から少しづつ解き放たれてきている」
「そう、そうね。じつは、この本はねえ、あなたについて書かれたものなの。まず最初の一文...。気がつくとどこからかオルゴールの音色が聴こえてきた。僕はその聞き慣れないメロデイーに魅かれ歩きだしていた...。どう?」
僕はドキッしたが同時に安心もした。
「その音色がなんなのか今は良く分かるんだ。だから、もうあの時みたいに迷ったりしないよ」
由美は微笑みながら語りかけてきた。
「いつもその音色が彼女のものとは限らないわよ。その時あなたはどうするの?」
僕は少しばかり返答に困ったがやがて答えを出した。
「それでいいんだよね、ただ今僕の中でその音色は彼女だったてことに気がついただけなんだ。それが本物なんなのかは誰にも分からない。でも分からないからこそ常に確認しあい、探検できるんだ。すべてに於いて僕は旅人として見聞きし、足で尋ね、そして吸収していく...。良いとされるものも、悪とされるものも...。それでいいんじゃないかな...」
「そうね...。しっかりやるのよ...」
周りの風景が揺らぎだしていた。
もうすぐ、この世界ともお別れだ。

8
 朝、目が覚めると、隣に彼女が寝ていた。
今日は日曜日。
平日の出勤時はお互いに家を出る時間が違うので、いつも同時に起きるとは限らない。
隣に彼女がいなくて寂しく思う時もある。
彼女も僕にたいして同じように考えているのだろうか?分からない。そんなことわかりっこない。
今、分かること...。彼女は今日もブラジャーをはずして寝ているということ。
乳首が可愛らしく上を向いている。
僕がかりに女性になったら、どんなスタイルになるのだろうか?
その逆もあり。
彼女は男性になったとしたら...。
 僕たちは今でも時々あのゲームを続けている。
今度は僕が彼女を教える番だ。
馬鹿馬鹿しくて笑えるようなストーリーを今考えている...。
[PR]
by tenkuunomachi | 2004-07-09 01:09