日々、雲のように流れて行く事象。世界中はエアに包まれている


by tenkuunomachi
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天空の街

5
 彼女と一緒になった初めての夜、僕も彼女も興奮していてなかなか眠れなかったのを覚えている。
僕はなにかと新しい体験を神秘的なものとして考えがちではあるが、あの初体験は本当に劇的な変化があったのを覚えている。
 まるで、自分の中に新しい感覚とでもいうのか、第6感が宿った気さえした。
おもわず興奮を抑え切れずにそのことを彼女に話すと、彼女は静かに納得してくれた。
「そういうことって本当にあるらしいよ。ある意味では見つからなかった残りの半分を一瞬でも埋めることができたのかもね」
本当にそうかもしれなかった。実際、そのことを考えると何故か額の辺りがチリチリとした。
 僕たちはしばらくの間興奮状態が続いていたが、やがて深いような、それでいて今にも壊れてしまいそうな静寂が訪れた。
 僕は彼女の蔦のように滑らかな白い体をずっと眺めていた。
彼女の体は月明りだけがたよりの部屋の中で見ると一層神秘的であった。
  6
 あれほどの驚きを感じた僕の初体験であったが、何度も重ねることによって少しづつ慣れてきてしまった。
そうしていくうちにお互いのセックスに対する考え方、趣向などがわかってきた。
 何度かお互いに男と女のセックスの感覚の違いについて話してみたこともあった。
彼女も僕もお互いに成りえないモノに、得られるはずもない感覚を欲していた。
彼女は男の肉体の武器に大変興味があったし、僕といえば女性の秘所よりも女性の体の造りそのものに興味を覚えた。
 「ちょっとだけ交換してみようか?」
と出来るわけのないことを冗談とも本気ともつかない口調で言ってみたりするのだった。
 「男性って服を選ぶにしても大変でしょ。かわいそうねえ」
と突然のように彼女が話しかけてくれば僕もその話しに加わる。
「うん、女性みたいに異性の服も着れるわけじゃないしね」
「着てみたい?」
「着てみたいって、女性の服を?例えばどんな服」
「別になんでもかまわないんだけどね。そういえば女性のはいているスパッツとかレオタードってあるでしょ」
「うん。それがどうしたの?」
「あれってさあ、運動する時によく着るじゃん。いわゆる動きやすい格好っていう理由でさ」
「そうみたいね」
「でも実のこというとさ、全然楽じゃないんだよ。みんなすました顔していかにも健康そうに運動しているけれど、実際はスパッツは足に吸い付いてきて蒸れるし、レオタードなんておもいっきし喰いこむもん。あれってさ、よく考えて見れば一人SMだよね。なんていうのかさ、痴漢にあって被害者ぶりながらもさあ、心の底ではどうだか分からないってやつ?」
「なにが言いたいのかだいたいわかったよ。女性がそんな格好をするのは自己満足のためだって言いたいんでしょ。なんとなくわかるよ。だって男なんて自分の下着を何十着も持っていたりしないしさ、それにスパッツにしたってなんとなく周りの目が恥ずかしくてやめちゃうもん」
「まあ、男の中にもさあ、すごいナルシストな奴もいるけれどもさあ、全体的に女性ほど誇示したりしないよね」
「ちなみにさあ、西洋から伝わってきた服ってのはさあ、女性なんかの場合は特に機械的要素が強いよねえ。なんていうのかさ、服に自分の体を合わせていくっていう方法...。東洋の場合はさあ、服が自分に合わせてくれるっていう考え方があるじゃん。でも西洋の場合はそうじゃなくて規律のある格好がもてはやされるんだよね。自分自身を律するっていうのか、調教していくっていうのか...。レオタードなんかもその変形じゃないかなあ。まあ行き着くとボンテージだけどね」
 こんな話しができることは不思議であった。
普通の人間関係の中であったらこんなこと話しでもしようものなら変態扱いされるか、恥ずかしがって誰も真剣には聞いてくれないだろう。
「ねえ、あなた、女性もののパンテイはいてみたいとおもわない?」

「いや別に。そんなものはいたら小さすぎて多分はきずらいだろうし、そんな格好でずっといたら不便そうだしな」
「でも、子供の頃はブリーフはいていたでしょ?」
「ああ、あの時はね、親が買ってくれてたし、別に疑いもなくはいていたからなあ。でも決して体に密着するようなやつではなくて少しばかり余裕があったよ」
彼女はクスッと笑った。
「それは、大事な所を締め付けないためかなあ?」
「さ..さあどうなんだろね。でもとにかくゆるゆるだったよ。それに今はトランクスだし」
「だからさあ。今だけでいいや。パンテイが小さすぎて大事な部分がはみ出るっていうんならレオタードなんてどう?あれだったら一体型だしはみでないとおもうよ?」
「甘い。たぶん下から僕のかわいい双子のボールが顔を出すよ」
僕は自分の言葉に照れながらも続けた。
「い..一応標準サイズだからさあ。そ..そのプッ、無理があると思うよ」
彼女も笑いだした。
「なんだよう。笑うくらいなら言わなければいいのに」
「いいの、いいの、本気だから。今持ってくるよ。多分、こぼれないと思うよ。あのレオタード、ふともものラインが深めのやつだから」
彼女は笑いながら這うようにして自分の部屋にいってしまった。
数分後、彼女は黒いレオタードを持ってやってきた。しわくちゃで、それだと言われなければ洗濯物かボロきれと間違えてしまいそうだ。
「おいおい、本気かよう。やめようぜ」
「いいじゃん。いいじゃん。別に減るものでもないし。それともなにか不都合でも?」
「そういう問題じゃなくて、それを僕が仮に着たとする。その後君はそれをどうするの?」
「どうするって?」
「もう、二度とそれは着れなくなっちゃうんじゃないの?それでも構わないの?」
彼女はにやっとする。
「まさかあ、どこかの痴漢泥棒が取っていくわけでもないし。それにもうこれ着ないしね」
そう言って彼女は僕の前にレオタードを投げてよこした。
僕は急に恥ずかしさがどっと込み上げてきた。
「ねえ、窓のカーテンしまっているよね。それとさあ。このレオタード着るのさ、ズボン越しからでいいかな?」
「駄目!だ〜〜〜め。許しません。たくっ人の物をなんだと思っているのよ。大丈夫、きっちり洗濯もしてあるから」
「いやあ、じゃあどうすればいいのかなあ?」
彼女は勝ち誇ったように言いはなった。
「素肌への着用以外は認めません。お客さま、どうかご協力お願いいたします」
僕はしぶしぶ、複雑な気持ちのままはいてみた。
「ちょ、ちょっと、これ、本当にはけるのかなあ?」
僕はあまりのきつさに驚いていた。
ただ単にサイズが小さいという問題なのだろうか。
「大丈夫。それ、少し大きめのやつだから」
そうはいうものの、いつ切れてしまうのではないかと不安になる。
僕はなさけなくも、自分のたいしてたくましくない体をくねらせながらなんとか着てみた。
「まあ、恥ずかしい。あんた、こんな格好していて恥ずかしくないの?」
いきなり彼女は罵声を浴びせてきた。

「い..いや。君が着てみろっていったから...」
「うそつきね、まあいいわ。あんたのその格好を見た人が今夜のオカズにでもしてくれるんじゃないの?」
僕は恥ずかしくてその場にへたりこんでしまった。
すると彼女はまたにやっと笑った。なにかをたくらんでいるのだ。
「なんてね、でもさ、以外と、アダルトビデオに出ている子なんてこんなふうに自分で自分を責めているのかもね。結局は、なぜ後悔するかっていうと誰もがその行為自体が道徳的ではないからかもしれない。あんただって、本当は今 結構気持ちよかったりするはずだよ。結構ペニスが圧迫されて快感でしょ?」
そう言われてみればそのとうりであった。男物の水着とは確かに違う感覚だ。すごく引っぱられる。お尻なんて肉が中心に寄せられるような感じだ。いや、それよりも、女性物を着ているという背徳感と、このままの状態で誰かに見られたらどうしようといったスリルが全身を甘い痺れで満たしていた。
 まるっきし抵抗できない犬にでもなった気分でもあるが、逆に全てを彼女に委ねてしまいたい気にもなってきた。
「ふふふ、なってる。はまってるよ。あんた、女性みたいにしな作っちゃって、どうしたの」
「いやまじでこれすごいよ。その気にさせちゃうもん。やべえ、どうしよう」
「あなた、女性のくせに口のきき方がなてないわねえ。どうやらおしおきが必要かしら?」
彼女の態度もガラッと変わってしまった。
「ほら、歩けよ。いつもそんな格好しているのかよ。寒くねえのかよ」
いよいよ彼女と僕の性が逆転しだしていた。
 変な感覚だ。自分の中にもマゾ的な感覚があったのだろうか?
彼女はそれを僕に認識させるためにあえてこんなことをしてみたのであろうか...。
 「ほら、由美、しっかりしなさい!まだ、補習は残っているわよ。だらしがない」
複雑な気持ちであった。
一方的に強気に出て、相手を侮辱する展開は三流のエロ小説とかアダルトビデオによくあるパターンだ。
僕自身、そんな類のビデオを見て笑ってみたり興奮したりすることはあっても受け身にたつことはなかった。
それが、今 この状況に興奮すらしている。
これが、彼女とのプレイだからかもしれない。まったく見ず知らずの人とだったら、恥ずかしさのあまり逃げ出すだろう。
 今、僕は由美になっていた。
由美はどんな人間なのだろう。
きっと、補習があるぐらいだから学生だろう。
高校生、大学生?
中学生っていう展開は勘弁してほしい。
僕はそこまで年下は好みではない。
いろいろと考えているうちに彼女の指先が僕の股間を刺激しだした。

「ちょ、ちょっと、まって、それは反則です。コ、コーチ」
なるほど、被虐的なプレイがこんなにすごいなんて...。
今までは無理にでも自分から彼女を喜ばせなくてはならなかった。
そういうふうに自分の中で決め込んでいた。
それが今、ほとんど自由の奪われた状態で快感をむさぼっている。その快感は自分からそうさせるというよりは、むしろ逃げようとしながらも捕まってしまう気持ちにも似ている。
よく、女性が好きな男性に追いかけてもらいたくて逃げ出す気持ちにも似ている。
自分自身の幻想に酔うために一生懸命に切なそうなふりをする...。
以外と受け身でいるというのもいいのかもしれない。
そんなことを考えているうちに快感はすでに我慢の域を越えようとしていた。
「あ...駄目!やめて」
「本当にやめてしまってもいいの?」
彼女の顔には汗がうっすらと浮いている。
少しばかり意地悪な顔をしてみせる彼女であったが、僕は一瞬、由美と彼女をオーバーラップさせた。

ビクンと背中が痙攣した。
次の瞬間には僕の中から剥離した分身が飛び出していた。
「う、ああああ、あ〜」
なぜか、声までが高い声になっていた。
少しの間とはいえ、僕は完全に由美になってしまっていた。
すこしのずれもなく...。
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by tenkuunomachi | 2004-07-09 01:11