日々、雲のように流れて行く事象。世界中はエアに包まれている


by tenkuunomachi
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急に雨が降って来た。
空は先まで曇ってはいたけれども、雨が降りそうな感じではなかったと思う。
雨はぱらぱらと音をたてて落ちてきた。
途端に街のいたる所で雨の音が聴こえだした。

僕は先ほど買った画材を急いで自分の鞄の中にしまった。
小雨は嫌いじゃないけれども、画材が濡れるといけないから...。

ふと、考えてみる。
天から舞い落ちてくる雨はこの地上の変わり様をどう思っているんだろうと。
長い時間の流れの中でこの大地はいろいろなものに姿を変え、そしてそこに住む人間という生き物はいまや、あなたたちよりも遠い存在を知っている...。天よりも高く...。空を越えて...。

ふと僕を呼ぶ声がした。
振り向くと男の人がこちらを向いて立っている。
「傘ささないと風邪ひきますよ」
どうやら、僕に傘に一緒に入れと言いたいらしい。
僕は笑顔で答えた。
「いいえ、もう少しこうしていたいんです。でもありがとう」

男の人は済まなそうにこっちに会釈をして行ってしまった。
ありがとさん...。でも僕はもうちょっとの間 雨に打たれていたいのさ。
そう、もう少しの間、雨が降ったら、雨が体に落ちてきたらどんな感触なのかを久々に確かめてみるのも悪くない...。
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by tenkuunomachi | 2004-07-14 20:15 | ショート小説